前記事、広告展の図書室でちょっと目を通して面白そうだったので取り寄せていた本が届きました。「名作コピーの時間」
120名のコピーライターが思い入れのある他者のコピーの3点をピックアップしたコラムで構成されています。
コピーを追求している人達が唸るコピーってなんだろうと思うのですが
よく話題に上がっていたのがやっぱり
「そうだ、京都、行こう」 東海旅客鉄道
祖父母が京都にいらっしゃる小山佳奈さんのコラムに
このCMがある前は「京都に帰る」と友達に言っても、年寄りくさい、線香くさい、それよりディズニーランド行ったんだけどさ、みたいな反応だったのが、そのCMが流れ出した以降は、みんなが口々に「うらやましい」と言う。以前と以後、世界は変わった。
と書かれていました。確かにあの広告で京都の魅力がぐぐっと認知されました。
「そうだ、京都へ行こう」 ではなくて 「京都、行こう」 の区切りが衝動的な感じが伝わり素敵です。
そんな小山佳奈さんが選んだコピーは
「意味のないそれらを、僕は死ぬほど愛している。」 J-PHONE
こちらも心をザワザワさせて良いですね。
あと多く上がっていたのが
「恋は、遠い日の花火ではない。」 サントリー
遠い日の花火を感じられるって、そこそこの大人だろうなと思うのですが、こちらを上げて書いている人たちはその時にはまだ若くて、「大人になるって素敵だな」という憧れを持っていたという話。それもまた素敵だなあと思いました。
コピーライターはその企業の経営や運営の実務はしていないわけですが、音楽や映像に載せた一言が企業や地域の方向性を変えてしまうって面白いです。
名作とされるコピーはその商品を買って得した事や便利ではなく、いかに心の琴線に触れているかでした。
今はスマホの時代でSNSの数だけ大量に広告が流れていきますが、上質な言葉の世界って誰もが知る身近な所でも残っていくと良いなあって思います。